「下町ハイボール」って何?

そもそも「ハイボール」とは何か?

2014年にウイスキーづくりをテーマにしたNHKのドラマ「マッサン」によって、日本各地でウイスキーブームが起こりました。それに伴い、ウイスキーを炭酸で割った「ハイボール」が広く認知され、皆に親しまれるようになりました。

実際のところ、ウイスキーによる「ハイボール」の大々的なブームは、戦後すぐの1950年代と2010年頃に全国的な規模で起こっています。そのため、多くの人々にとって「ハイボール=ウイスキーの炭酸割り」といった図式が、当たり前のように出来上がっています。

しかしながら、一説によると「ハイボール」というのはウイスキーに限らず、度数の強いお酒(スピリッツ、リキュール等)をソーダで割った飲み物全般のことを指すそうです。よくコンビニで見かける「チューハイ」も「焼酎+ハイボール=チューハイ」という意味で名付けられたものだと言われています。

このサイトでご紹介している「下町ハイボール」も、甲類焼酎を炭酸水で割って作るという点では「チューハイ」の一種だと言えます。ただし、その味はレモンやブドウなどフルーツ系の「チューハイ」とは違って、きわめて独特な風味と香りを持っています。

「下町ハイボール」とは何か?

「下町ハイボール」の基本形は、酒場ごとに違いがある「謎のエキス」と焼酎を炭酸水で割って、レモンスライスを浮かべて飲む・・・といったものです。酒場によっては、炭酸水を入れる順番にこだわったり、その濃さを自分で選ぶことができるところもあるようです。

「下町ハイボール」の味ですが、一言で言えば「爽やかで飲み飽きない」と表現することができます。ただ、その風味や似た味わいの物というと・・・比較できるものはなく、まさに「下町ハイボール」は「下町ハイボール」としか言い表せない味だったりします。

ちなみに、私が初めて「下町ハイボール」に出会ったのは、東京・北千住にある酒場「大はし」さんでした。こちらでいただいたのは、甘いエキスで割った「下町ハイボール」で飲みやすく、名物の煮込みと最高のマッチングでした。また、同じく北千住にある「千住の永見」さんでいただいたものは、ほとんど甘さがなくスッキリとした飲み口で、これもまた別の美味しさがありました。

「下町ハイボール」は、「謎のエキス」と焼酎の割合、そしてその飲み方によって色々な味の変化を楽しむことができます。また、ウイスキーのハイボールと同様に、和食から洋食までどんなおつまみにも合わせることができる万能の食中酒です。

現在、ウイスキーのハイボールが多くの人々に受け入れられているように「下町ハイボール」の万能性は多くの人を虜にする魅力を持っていると私は感じています。長年下町で愛されてきたその実力は、まさしくダテではありません。

「下町ハイボール」の歴史

「下町ハイボール」の歴史は古く、最初にウイスキーによる「ハイボール」がブームになった1950年代には、東京の墨田区や葛飾区を中心とする下町の酒場で飲まれ始めていたと言われています。

元々はウイスキーによる「ハイボール」の値段が高くて、それが飲めない下町庶民のために生み出されたローカルなドリンクで、安い焼酎をいかに美味しく飲むことができるかという視点で作られたそうです。

その頃の焼酎はニオイがきつく飲みにくかったそうですが、その独特のクセを和らげるだけではなく、下町の酒場のつまみの王道である「モツ(ホルモン)」に合わせた飲み物として、下町周辺の工場の工員や男性労働者の間で深く浸透していきました。

さて、同じ東京の下町のローカルドリンクである「ホッピー」は全国的に浸透していますが「下町ハイボール」は関東地区の酒場以外ではほとんど見かけることがありません。ある意味、大変ローカルな飲み物だと言えるのですが、この「下町ハイボール」のローカル性は、どのようにして生まれたでしょうか。

この点について、天羽飲料の3代目の社長さんはインタビューで「隅田川から西には絶対に知れ渡らないように、向こうにお客をとられまいと、止めていた。うちの親父が一番初めにいった、秘密でやっていけよってことをかたくなに守っていたんです」(※1)と語っています。

その発祥は、日本がまだまだ貧しい頃の名残といえる「下町ハイボール」ですが、高度経済成長期やバブルの時代を超え、その後にやってきた長く厳しい不景気の時代にも変わることなく、東京の下町の人々に愛され続けてきました。

時代は変わっても「下町ハイボール」は変わらずそこに在り続ける・・・何だか、いぶし銀の俳優さんを思わせるような歴史ですね。

※1 クドウヒロミ「ききあるき東京<酎ハイ物語>第5回 天羽飲料・堺社長、大いに語る!(後編)」(リンク先は後述)より引用

「謎のエキス」の正体

「下町ハイボール」を語る上で欠かせないのが「謎のエキス」です。

この「謎のエキス」ですが、実は市販をされていて一般の人でも購入することができます。そのため、私のような地方に住んでいる人でもネット通販にて手に入れることが可能です。

「謎のエキス」の中で一番有名なのは、東京都台東区にある「天羽飲料製造有限会社」が作っている「天羽の梅」というエキスで、他にも数社が同様の「下町ハイボール」のエキスを販売しています。また、宝酒造やアサヒ飲料からは「下町ハイボール」の味を再現した缶チューハイがラインナップされています。

つい最近までは「謎のエキス」は店独自のエキスであると言われており、そのミステリアスさが呑兵衛たちの心をくすぐる面がありました。しかしながら、このエキスは市販されているものであり、それさえ手に入れれば美味しい「下町ハイボール」を楽しむことができるのです。

ただし、先述した通り、このエキスは焼酎や炭酸で割る割合によって随分と味や飲み心地が変わりますし、市販のエキスを混ぜ合わせたり味を足したりすることで、一工夫されている酒場も多いと言われています。

また、エキス自体が長期保管に向いていないこともあり、封を開けたら「焼酎」と混ぜて保管をすることが推奨されていますが「焼酎」とエキスを混ぜ合わせて寝かせておくと、さらに美味しくなるとも言われています。

その点で「下町ハイボール」を自宅で美味しく飲むコツというのは、それぞれの酒場で工夫をしているように、自分が「美味しい」と感じる飲み方を見つけだすことだと私は考えています。

このサイトをご参考にしていただきながら、そんな「自分なりの美味しい飲み方」を発見していただければ幸いです。

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